神戸地方裁判所 昭和55年(わ)1111号 判決 1980年12月25日
本店所在地
神戸市灘区水道筋一丁目五一番地
法人の名称
有限会社 福一
代表者住居
神戸市兵庫区松本通二丁目三番六号
代表者氏名
福田美文
本籍
兵庫県神崎郡市川町澤四七六番地
住居
神戸市垂水区多聞台五丁目四番一二号
会社役員
福田美文
大正一一年一二月一日生
被告事件名
法人税法違反
主文
被告人有限会社福一を罰金一、五〇〇万円に
被告人福田美文を懲役一年に各処する。
被告人福田美文に対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社福一は、神戸市灘区水道筋一丁目五一番地に本店を置き、金融及び不動産賃貸業を営んでいるもの、被告人福田美文は、右有限会社の代表取締役として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人福田美文は、被告人有限会社福一の業務に関し法人税を免れようと企て
第一 昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一〇六、八七八、三八八円で、これに対する法人税額が四一、六六三、〇〇〇円であるのにかかわらず、貸付金にかかる利息収入の一部を除外し、これによって得た資金を簿外の定期預金にするなどの行為により、右所得の全部を秘匿した上、同五三年二月二八日、灘税務署長に対し、右事業年度の所得金額が零円で、納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税四一、六六三、〇〇〇円を免れ、
第二 昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一〇四、一三五、三一七円で、これに対する法人税額が四〇、二二六、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五四年三月一日、前記灘税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一六〇、三七八円で、これに対する法人税額が四四、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税四〇、一八一、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一 被告人福田の当公判廷における供述並びに検察官に対する供述調書三通
一 大蔵事務官の被告人福田に対する昭和五四年一〇月四日付、同月一八日付、同月二六日付、同年一一月九日付、同月一五日付、昭和五五年三月六日付、同年四月二日付、同月九日付、同月一八日付、同月三〇日付、同年五月二日付、同月六日付、同月一四日付、同月一五日付各質問てん末書
一 被告人福田作成の同年四月三〇日付(検甲五二号、五三号、五五号)、同年五月六日付、同月九日付(検甲六〇号)各確認書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲一〇号乃至一六の七册及び同一七号乃至二〇号、二二号乃至三一号、三四号の一五通)
一 大蔵事務官の永野政子に対する質問てん末書
一 灘税務署長作成の証明書(検甲九号)
判示冒頭の事実につき
一 登記簿謄本(検甲二号)
判示第一の事実につき
一 被告人福田作成の確認書(検甲六一号)
一 灘税務署長作成の証明書(検甲三号)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲五号)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲三二号)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官の被告人福田に対する質問てん末書(検甲四〇号)
一 灘税務署長作成の証明書(検甲四号)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲六号)
(法令の適用)
罰条
被告人有限会社福一につきいずれも法人税法一六四条一項、一五九条
被告人福田につきいずれも同法一五九条一項(いずれも懲役刑のみを科する)
併合罪
被告人有限会社につき刑法四五条前段、四八条二項
被告人福田につき同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予(被告人福田関係)
同法二五条一項
(検察官森川正章出席)
(裁判官 近藤道夫)